1988年といえば、カルガリーオリンピック
このオリンピックは、現在のフィギュアスケート界に大いに影響を与えている人物が選手としてエントリーしている。
他の、オリンピックももちろんそうだが。
フィギュアスケート、特にペア競技のおいて、
当時、まだソビエト連邦だった、ロシアの驚異的な実力を見せつけられた大会となった。
しかし、ロシアペアによる表彰台の独占を許さなかったのが、ジル・ワトソン&ピーター・オペガードのアメリカペアだった。
1位 エカテリーナ・ゴルデーワ & セルゲイ・グリンコフ ソビエト連邦 順位点1.4(SP1 FS1)
2位 エレーナ・ワロワ & オレグ・ワシリエフ ソビエト連邦 順位点2.8(SP2 FS2)
3位 ジル・ワトソン & ピーター・オペガード アメリカ合衆国 順位点4.2(SP3 FS3)
4位 ラリサ・セレズネワ & オレグ・マカロフ ソビエト連邦 順位点6.4(SP6 FS4)
5位 ジリアン・ワックスマン & トッド・ワゴナー アメリカ合衆国 順位点6.6(SP4 FS5)
6位 デニス・ベニング & リンドン・ジョンストン カナダ 順位点9(SP5 FS7)
7位 ペギー・シュヴァルツ & アレクサンダー・ケーニッヒ 東ドイツ 順位点10.4(SP11 FS6)
8位 クリスティン・ハフ & ダグ・ラドレ カナダ 順位点11.2(SP8 FS8)
9位 イザベル・ブラスール & ロイド・アイスラー カナダ 順位点11.8(SP7 FS9)
聞き覚えのある名前が、早速出てきた。
ここでは、1位のゴルデーワ&グリンコフ組のSP演技と
3位のワトソン&オペガード組の演技を見比べてもらおうと思う。
SP終了後の二人の顔には笑みが。
演技は満足いくものだったと推測する。
会場を揺るがすほどの拍手喝さい。
しかし、点数は思うほど伸びなかった様子。
一方、セルゲイ・グリンコフ&エカテリーナ・ゴルデーワ(ソビエトペア)も完璧に近い演技を見せるが、演技後、二人の顔に笑みはない。
前のペアの点数を大きくリードする高得点をマークするも
満足した様子がない。
次に順位を決めるFSを見比べてみる。
前半、大きなミスなく、中盤を迎えるワトソン&オペガード組みだったが
スロージャンプで、ワトソンが転倒した後、
このペアの独特な魅力であるサイドバイサイドジャンプが、
ことごとく決まらず、後半にかけて演技が大きく乱れる。
ワトソン&オペガードが24歳、28歳の円熟ペアに対し、
ゴルデーワ&グリンコフは、16歳と20歳の若手ペア
細かいミスは目につくものの、一つ一つの演技要素は、
他のペアに比べて、圧倒的に高難度で、
他ペアの追随を許さず、金メダルを獲得する。
実力が互角とは言い難い。
アメリカペアは健闘したと思う。
ペア演技の魅力を考えた時、
「女性は絵であり、男性はキャンパス」とした日本のアイスダンス、リード組の言葉を思い出す。
昨今大活躍の中国ペアの演技においても、女性の存在感が圧倒的に大きいのに対して、ゴルデーワ&グリンコフ組には、男性にも魅力があったと思える。技術はもとより、容姿、表現力共に、他のペアには見られないほどの魅力があったのだ。
だから、僕は、このペアの演技に惹かれてしまったのかもしれない。
「真央ちゃんと比べないで」と荒川静香さんが言ったらしいんだけど、
オペガード氏も、「グリンコフ氏とは比べないで」と言いたかったかもしれないが。言い方は変かもしれないが、現役時代にはロシアに黒星を付けられたままのオペガード氏は、引退後、ペアのコーチとしてたくさんの選手を育てた。井上玲奈さんのペアもその一つだ。
しかしながら、ご存じのとおり、その後のオリンピックにおいて、アメリカのペアはあと一つのところで表彰台を逃している。
そういう意味でオペガード氏は、今のところ、アメリカペア、最後の五輪表彰台ということになる。
アメリカのフィギュアスケート殿堂入りは当然の功績だった。
あの黒星はソチで返すつもりなのだろうか?
今現在、シングルの選手、キム・ヨナに対して指導を行っているとのことだが、投げるのと持ち上げるのが専門のペアの男子だった方が、シングルの女子にどんな指導をするのかは、よくわからない。
まあそれはおいといて、1988年カルガリーオリンピックのメダリストをもう一度整理すると
男子の銀メダリストはブライアン・オーサー(カナダ)
女子の金メダリストはカタリーナ・ビット(当時東独)
どちらもキム・ヨナ選手が、敵に回した、
あるいはこれから敵に回す予定の人物だ。
ご存じのとおり、ミュンヘンに冬季五輪を招致したいドイツの顔、カタリーナ・ビットと平昌に招致したい韓国の顔、キム・ヨナのガチの叩きあいが始まる。
よくよく、1988年カルガリーオリンピックに縁のある人だな。
ペアの銅メダリスト、オペガード氏のことは、いつ、どのような形で裏切り、敵に回すつもりだろうか?
最後にお口直しに、僕が大ファンになったゴルデーワ&グリンコフペアの軌跡をご覧ください。
[18回]
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この記事へのコメント
ひとつだけ追記
タチアナ・タラソワ氏も写っている。
とても、悲しい日に。
無題