羽生結弦
彼は真の演技者だ。
技術点や芸術点。
採点やジャッジの思惑。
目に見えるもの、見えないもの、すべてを超えて
魂を鷲掴みにされたのだ。
今日、会場の興奮と感動をさらったのは
他でもない、羽生結弦だった。
羽生選手の演技の後、
他の選手の演技は、ペランペランの小手先だけのもののように感じた。
個々、素晴らしい選手なのだが、
誰も、羽生選手の魂の演技に及ばなかったのだ。
事実、彼はフリーの技術点ではトップ。
フリーの総合点でも高橋くんをわずかに超える点数で
2位だったのだ。
感動だけで採点されるなら
間違いなく、羽生結弦の優勝だった。
もちろん、高橋くんのノーミス演技も、
難しいブルースを使った表現力も群を抜いていること。
また、チャンの4回転を2回成功させた功績や、
スケートスキルの素晴らしさは
理解しているつもりだ。
だけど、フィギュアスケートはそれだけじゃないことを
羽生結弦は僕たちに思い出させてくれた。
こんなに胸が痛いほど、感動したのは久しぶりだ。
フィギュアスケートは心で見るものだと、再認識した。
表彰台での彼は笑顔を絶やさなかったが、
彼が、どんな一年を過ごしてきたかを思い出すと、
その笑顔を見るだけで、また、涙があふれてくるのだ。
彼の演技は、日本人の底力を、また世界に知らしめた。
カナダ国旗をはさんだ、二つの日の丸を仰ぎ、
日本人の復興への誓いは、結ばれる。
日本はきっと、再生される。
日本の希望は、未来へと確かに繋がったのだ。
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素晴らしい感動をありがとう。
君たちを誇りに思う。
羽生くん、高橋くん。そして、今回は本領発揮できなかったけど小塚くん。
ああ、今夜はもう、眠れそうにない。
引き続き、女子のフリーが始まる。
明け方の光を受ける頃、
喜びの涙に包まれる表彰台を
私たちは、再び、見ることになるだろう。
羽生涙の250点超!まさかの転倒も完璧ジャンプで銅!
スポニチアネックス 3月31日(土)23時8分配信
◇世界選手権最終日(2012年3月31日 フランスのニース)
男子のショートプログラム(SP)7位の17歳、羽生結弦(宮城・東北高)は17番目で、最終組の一つ前の組で登場し、「ロミオとジュリエット」の世界を熱演した。
冒頭の4回転トーループをきれいに決めると、高さとスピード感にあふれたトリプルアクセルで波に乗った。序盤は3度のジャンプをすべて成功させたが中盤、前半飛ばし過ぎた疲れからか足が動かずにまさかの転倒。それでも最後まであきらめずジャンプはすべて成功させた。
競技を終えると達成感からか涙ぐみ、両手で顔を覆った羽生。フリー得点はこれまで自己ベストの166・49点を上回る173・99点の自己ベスト。合計も自己ベストの251・06点として銅メダルを獲得した。
グランプリ(GP)シリーズ初優勝に、GPファイナル初進出。着実に階段を上ってたどり着いた舞台。東日本大震災で被災した仙台市出身のスケーターにとって、今季は「特別なシーズン」だった。「みんなで前を向いて目標へ進む。最後までやり切ることでメッセージを伝えたい」。被災地への思いを込めて滑った4分30秒だった。
羽生は演技後「ハッピーエンドになれてよかった。ジャンプをノーミスでできたことがうれしい。250点を超えてトップの選手に割って入れたかな。被災地への思いを実感できて涙が出てきた」と語った。
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