羽生くんのSP使用曲「スクリャービンの悲愴エチュード」
この曲は初恋の人と言われるナターリア・セケリーナに寄せられていることから、「ナターリアのレント」と呼ばれており、叙情的な美しさが大変好まれている。(PTNA公式HP 齊藤紀子さん解説より)
とあり、ピアノ独奏の原曲では、悲愴というより「恋の悲しみ」といった風情なのです。
しかし、オーケストラバージョンになると、もっと深い深い悲しみが表現されているように思います。
前の日記にも書きましたが、「悲しみ」と、さらには「怒り」。
それらに打ち勝つための「誓い」「強い意志」が感じられます。
羽生くんの演技には、その「強い意志」が生きているのです。
魂の底から湧き出る、生きた意志が、観る者の心をとらえて離さないのです。
それは浅田選手が、「モスクワの鐘」で表現した「怒り」「強さ」にも似ています。
いや、浅田選手のそれを超えているかもしれません。
東日本大震災の被災者としての想いでしょうか?
まさに今、大自然の猛威に翻弄され、大きな悲しみと強い怒りを抱いた彼の、まだ熱の冷めない意志が、
観る者の心にダイレクトに刺さってくるのです。
冒頭から最後まで、一瞬の動作にも気を抜いていない、
魂のこもった演技でした。
思わず涙腺が緩むのを止めることはできませんでした。
日本の男子フィギュアスケーターは、内気で照れ屋な国民性ゆえに、
演技で感情を表現するには、ベテランと呼ばれるまでの長い時間を要したように思います。
しかし、羽生結弦という選手は、弱冠16歳にして、表現力が並大抵ではありません。
しかも、華やかなフィギュアスケートにおいては、
もっとも難しいであろう「怒り」の感情を表現をしきっているのです。
羽生くんの演技に、本当に深く深く感動いたしました。
フリーの「ロミオとジュリエット」も楽しみです。
今後、さらに表現力を磨いていって、素晴らしい選手になっていくに違いありませんね。
Maksim Mrvica Live in Zagreb 13.11.2009
[38回]
PR
この記事へのコメント
無題
高橋選手が今シーズンバレエのレッスンを受けて、「もっと早くやっておけばよかった」と言ってましたが、羽生君も余裕ができたらぜひバレエやって欲しいなと思います。ランビエルやガチンスキーの気品のある表現力は、バレエの基礎の賜物だからです。まあ、そんなことは周りの方がちゃんとわかってらっしゃることでしょうが。
Re:無題
羽生くん、張り切り過ぎてたんですね。
そんなところも彼らしい感じですが。
次、リベンジ頑張ってほしいですね。
そうですね。
がっちり筋肉が付いて成人男子の体形になる前に
成長期にバレエを習うのが一番いいと思います。
羽生くん、丁度今なら間に合う・・・
ポージングの時の姿勢とか、
技と技のつなぎの部分などの、間合いの取り方とか、
なにげないところにも、バレエの基礎が活きてくると思います。